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西荻ビエンナーレ@会田誠邸

会田さんの美学校の教え子達が総出演した、
にぎやかなオープンハウス展。
というより、中央線オルタナティブ全開のマッドな三日間企画。
居間も台所も寝室も客間もトイレもお風呂も、いたるところにマンガやドローイングやうんち彫刻やきぐるみや箱庭や習字やなんでもかんでも飽和するぐらい、お家を守るお札みたいにぺたぺた作品が充満。二階の一室のみホワイトキューブにしてるので、その対比がよけい際だってる。こたつ派以後、会田ズ・チルドレンを要所要所で確実にフォローアップしてきた企画の現在形。
夜におじゃましたら、すでに参加者もお客さんもすっかりできあがって、親戚一同の宴会みたいに、なごみつつ、作品もごみもお酒もみんなごっちゃり一体化して、でもよく見るとすごくいい絵もあったりして、これぞ、リアル・アート・やじきた、もしくは永遠の学園祭な展示でありました。
翌日になって思う、幻だったのかな?
# by shu_tonsu | 2005-04-04 01:26 | art

磯邊一郎展@山本現代

顔に歴史あり。
顔に迷路あり。
顔にコラージュあり。
顔に道あり。
顔に抽象あり。
顔に文化あり。
顔に顔あり???

ちょうど、水戸芸術館のクリテリオムで発表していたばかり。
初個展だそうだ。

紙に鉛筆で細密に、でも黒々と描いた顔のドローイング。
けど、本当に目鼻がはっきりあるものはなく、顔のような形象。
さまざまな絵を構成するアイテムが、最終的に顔というフレームに収まった、とでもいうか。ともかく顔、なんである。
そこがミソな展覧会。

お隣の児玉画廊では、故・ハラルド・ゼーマンの愛娘、ウナ・ゼーマンの映像。
ポール・マッカーシーやジェイソン・ローズらアート界人脈総出演の抱腹絶倒ビデオ。

下の高橋コレクションでは、高嶺格。
映像やインスタレーションなど、見るたびに表現メディアが違って、カメレオンだなーと思っていたけれど、こちらのコレクションもまた意外な作品。鏡を使用したシャープな屏風絵と、メッセージ色の強い映像がどのようにつながっているのか、こういう人こそ小規模でもいいから回顧的企画が見てみたい。
# by shu_tonsu | 2005-04-04 01:19 | art

BATIK@森下スタジオ

マイRESPECTダンサー、黒田育世さん率いるBATIKの小さな実験的ダンス公演。
ダンサー自らが振り付け、演出を手がける黒田さんが、同僚(?)てか、ダンサー仲間を鼓舞する意味で企画したものらしい。それと海外遠征が主になる2005年の数少ない国内お披露目として。若干50名くらいしか入れない小さな稽古場を使った小規模な公演で、私も、人に教えてもらわなかったら行けなかったと思う。

土井唯起子&椎名五百枝@私の気持ち 10分
生成の綿スカートとシャツを着た女子二名。音楽に合わせてウキウキダンスするうちに、だんだん不協和音。スカートを破くと、下にはオレンジと赤のシマシマパンツ。手にしたケチャップとサザンアイランド(もしくは明太子マヨ)を、相手にじゃかじゃか浴びせてアクション・ペインティング。ふたりのキャンバスはオレンジと赤に染まった。臭いがすごい。ここはお好み焼き屋? ポール・マッカーシーのケチャップ乱れ飛ぶボッシーバーガーショウを思い出した。この塗りたくり体当たりパフォーマンスは70年代リバイバル? けど、オレンジ色が妙にポップで、色の感じがいいなーと思ううちに、あっというまに終了。最初からこの臭いでどうするんだ?と思っていたら、くるくるカーペットをめくって、拭いて、いっさいの痕跡もなくつぎのステージに移った。さすがだ。後で聞いたところによると、今回は名物舞台監督さんの手によるとのこと。

ウエキミナコ@ジュリー
ジャズ・ダンスなグルービーな動きで闊達な創作ダンス。ご本人の一挙一動が魅力的で、振り付けとか構成とかとくにきわだって新鮮というわけではないけれど、目がすいよせられた。ダンスが好きなんだなーって。

黒田育世@モニカ モニカ with松本じろ
アコギ一本とうねるような声のみで、南米的音楽を奏でる松本じろ氏。の、大地に根づいた重厚な音の旋律に、百パーセント一体化してからむ黒田氏のダンス。たしかにクラシックがベースなのかもしれないけど、いつか映画で見たブードゥー教のトランスな動きのように、フォークロアな祈りの踊りのように、とりつかれたシャーマンのように、無邪気な少女のように、頭をからっぽにして身体のリズムを刻む一個体のように、あらゆる人類のダンスがそこにつまってた。喜びも、興奮も、なにもかも。
彼女の踊りを見ていると、いつも、身体のしぐさや動きは、言葉や言語以前の、最もプリミティブな表現ツールなんだと思い知らされる。ひとつの記号的言葉で表すよりも、よりダイレクトななにかを、脳を通過させずに直接相手の身体に届けさせる。まるで以心伝心とかテレパシーとかみたいに、空間伝導するものがある。
この方もまた田口ランディ、五十嵐大介の系譜。
一青窈とかダリダリーンの人とか、シャーマン系に惹かれる気がある?
前見たSHOKUのような、文脈とか明確な感情の根拠があるわけでもないのに、やっぱり終演には涙が出た。この涙の根拠はなんなのだろう?
またしても衝撃的な数十分。早く次回作が見たいー。
# by shu_tonsu | 2005-04-04 01:10 | dance

フランツ・アッカーマン@小山登美夫ギャラリー

4月16日まで。
五年以上前に、再生さなかのベルリンで見た個展がすばらしくて、ずっと気になっていたひと。
ベルリンに拠点を置いて、(今はカールスルーエにもアトリエがあるらしい)
世界を旅したイメージを作品に転嫁してる。
まるで編み物のように、地図のように、各地で得たであろう形象を、境のない織物に描きあげていく。ドローイングや絵やウォール・ペインティングや、とにかくあらゆる空間の枠を超えて、永遠にそれが続いていくように、限界のないインターネットの海を紡ぐように描いていくひとだ。
アジアもたくさん旅するらしいけれど、あらわれてくるひとつひとつのアイテムは意外とみな抽象化されていて、今回は都市や飛行機の漠然としたイメージはあるものの、旅系アートに特有の特定の文化や風土を表す記号性は無化されている。
表現のフォーマットはどちらかというと、キャドでつくった3D建築模型とかに近くて、それがカンディンスキーの時代のように2Dだけで終わらずに、3D、4Dとディメンションをあげているのが21世紀的ということでしょうか。
ともかく、世界がなにかしらつながってる感というのが、田口ランディ的電波系世界認識にちょっと通じていて、なんだかこの人の作品を見ていると、想像力が際限なく働いて、どこまでもどこまでも遠くへいってしまうような錯覚をおぼえる。
リー・ボンデグーとか、フォークロアな意匠にも近いのかな。
絶妙な色彩感覚ともあいまって、ちょっとしたトリップ=旅気分を味わえる展覧会だ。

で、画廊の片隅には、なぜだか畳が数枚、縁側みたく積み上がっていて、上には伊豆の温泉のパンフとか旅のカタログがばらばらばらーと。自分の足で踏みしめる地上の旅の感覚と、頭の中でかぎりなく遠くへいっちゃうサイケデリック・トリップが共存してて、その極端な振幅にくらくらきてしまいました。
本人に会いたかったなー。
# by shu_tonsu | 2005-04-04 00:43 | art

佐藤姿子@SIDE2

SIDE2では何度目かの佐藤姿子展。
前から、名前が妖艶で勝手に気になっていたのだけれど、
この方の作品のかもすオーラは、ちょっと特異だと思う。
日本の枕絵に、ファンシーなシールとかバービーの切り抜きを貼った
ハイブリッド・マクラエが裏手に展示されている。
バービーを使ったセットアップ写真や映像はしばしば登場するけれど、
子どもの人形遊びには性的隠喩があるという、心理学の典型的ケースにどんぴしゃはまるような気がして、見てはいけないモノをつきつけられているようで、いつもドキっとしてしまうのだ。見た目かわいらしいだけに、よけいに。
今回のメインは、壊れかけた舞台装置。絵や写真や映像は全面にでなくて、むしろ実体である観客が自分自身の姿をそこに透かし見るような、よりリアルな空間表現になっている。チープな素材の組み合わせによるのだけれど、センスよくまとまっている。欧米の女性アーティストの影響もあるのだろうか。
どちらかといえば絵やコラージュのほうにより惹かれるけれど、この新しい展開は、変化の兆しなのだろうか。人形遊びの次の、スターへのあこがれ?
今後の行方がいっそう気になった。
# by shu_tonsu | 2005-04-02 02:26 | art